そのまま保守 Excel VBA・Access・VB6・Perl の保守と延命

社内システムが属人化したまま担当者が退職したときの初動

属人化の解消 / 引き継ぎ

社内の業務システムを1人で見ていた方が辞めることになった。あるいは、もう辞めてしまった。資料はなく、その人しか触れなかった。それでもシステムは毎日動いている。

この状況で最も多い失敗は、「とりあえず中身を理解しよう」として時間を使い、その間に肝心なものを失うことです。優先順位を時間軸に沿って整理します。

まだ退職日まで時間がある場合

本人がいるうちにしかできないことがあります。 限られた時間は、ファイルを見れば分かることではなく、本人に聞かないと絶対に分からないことに使ってください。

優先度1: 鍵と入り口をすべて回収する

これを最優先にしてください。失うと後から取り戻せません。

4番目は特に見落とされます。ドメインの更新通知やサーバの契約が退職者の個人アドレスにしか届いておらず、1年後に失効して初めて発覚する、という事故は珍しくありません。

優先度2: 「本人しか知らないこと」を聞き取る

コードを読めば分かることは後回しで構いません。聞くべきはこちらです。

最後の質問は必ずしてください。作った本人は、どこが危ういかを必ず知っています。聞かれなければ言わないだけです。

優先度3: 実際に動かしてもらい、記録する

説明を聞くのではなく、いつも通りに操作してもらい、その様子を記録してください。 画面を録画できるならそれが最良です。難しければ、操作の順に画面を写真に撮り、番号を振るだけでも十分です。

口頭の説明では、本人にとって当たり前すぎる手順が抜け落ちます。「毎朝このファイルを開いてから実行する」といった前提が、まさにその抜け落ちる部分です。

優先度4: 本人と一緒に、資産の置き場所を確認する

3番目は特に重要です。「共有フォルダにある」と思っていたものが、実は本人のパソコンにしかなかった、というのはよくあります。 退職時にパソコンが初期化されると、そこで失われます。

すでに辞めてしまった場合

時間がない状況です。順番を守ってください。

手順1: まず「壊さない」(当日中に)

理解しようとする前に、現状を保全します。

理解は後からいくらでもできますが、失われたファイルは戻りません。最初の1日でやるべきことは、これだけです。

手順2: 動いているものを止めない

稼働中のシステムに対して、この段階で設定を変えたり整理したりしないでください。「使っていなさそうなファイルを消す」「フォルダを整理する」は、中身が分かるまで待ってください。

古いシステムは、一見無関係なファイルに依存していることが日常的にあります。整理したことが原因で止まると、原因の特定は困難になります。

手順3: 使っている人から聞き取る

作った人はいなくても、使っている人は残っています。 その方々が持っている情報は、想像よりずっと多いはずです。

手順4: 業務が止まったときの代替手段を決める

中身を理解するより先に、これを決めておいてください。

ここが決まっていれば、実際に止まったときに慌てずに済みます。そしてこの整理は、外部に相談する際の最も重要な情報にもなります。 「いつまでに復旧が必要か」が分からないと、適切な提案ができません。

手順5: そのうえで、中身を調べる

ここでようやく中身の話になります。優先して知るべきは、コードの詳細ではなく「何に依存しているか」です。

ここが分かれば、「何が起きたら止まるか」が分かります。それが分かれば、優先して手を打つべき箇所も決まります。

落ち着いたら、二度目を防ぐ

最も重要なのはここです。担当者の退職でこれだけ困ったということは、今の状態を放置すれば、次の担当者のときにも同じことが起きます。

必要なのは、完璧な設計書ではありません。次の3つがあれば、属人化の度合いは大きく下がります。

  1. 操作手順の記録 — 誰が読んでも同じ操作ができるもの。写真と番号で十分
  2. 依存先の一覧 — どのサーバ、どのフォルダ、どのパソコンが必要か
  3. 止まったときの連絡先と代替手順 — 誰に連絡し、その間どう回すか

この3つは、システムを作り直さなくても作れます。そして作り直しに比べれば、費用は桁違いに小さく済みます。

「担当者が辞めるからシステムを作り直す」という判断は、問題の切り分けを誤っています。属人化はシステムの問題ではなく、記録が残っていないことの問題です。作り直しても、記録を残さなければ同じことが起きます。

調査と、引き継ぎ資料の作成をお引き受けします

ファイルをお預かりして、依存先の一覧と危険な箇所を報告書にまとめます。社内で確認すべき事項も質問の形で一覧にするので、そのまま関係者への聞き取りにお使いいただけます。初回調査 5万円(税別)、ご発注いただいた場合は改修費から全額差し引きます。

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