そのまま保守 Excel VBA・Access・VB6・Perl の保守と延命

前任者がいなくなったAccessデータベースを引き継ぐ手順

Microsoft Access / 引き継ぎ・属人化の解消

Access で作られた顧客管理や受発注の仕組みを引き継ぐことになった。作った本人はもういない。マニュアルもない。とりあえず毎日動いてはいる。 ——このとき、最初にやるべきことは中身を調べることではありません。

Access は Excel と違い、開いただけでファイルの中身が書き換わります。 そして複数人が同時に使っている状態でファイルをコピーすると、壊れたコピーができあがります。順番を間違えると、調べる前に壊してしまいます。

第1段階: 壊さない状態を作る(当日中に)

1. 今、誰が開いているかを確認する

Access のファイルと同じフォルダに、拡張子が .laccdb(古い形式なら .ldb)のファイルがないか見てください。これは「今、誰かが開いている」ことを示すファイルで、中にはパソコン名とユーザー名が記録されています。メモ帳で開けば読めます。

このファイルが残っているうちは、まだ誰かが使っています。全員に閉じてもらってから次に進んでください。 誰も開いていなければ、このファイルは自動的に消えます。

2. 全員が閉じた状態で、コピーを取る

使用中にコピーすると、書きかけの状態が保存され、後から開けなくなることがあります。「バックアップを取ったつもりが、壊れたファイルだった」という事態を避けるため、この順番は守ってください。

3. 現在のバックアップ体制を確認する

ここで一度立ち止まって、次を確認してください。

引き継ぎで最初に整えるべきはバックアップです。中身の理解より先です。バックアップさえあれば、その後の作業で多少失敗しても取り返せます。

第2段階: 構成を把握する

4. ファイルが分かれているかを確認する

きちんと作られている Access は、データを入れる側(バックエンド)画面を表示する側(フロントエンド)の2つのファイルに分かれています。

Access を開き、テーブルの一覧を見てください。テーブル名の左に矢印のアイコンが付いているものがあれば、それは「リンクテーブル」——つまり実際のデータは別のファイルにあります。

分かれている場合、各パソコンにフロントエンドのコピーが配られているのが正しい運用です。ただし現実には「みんなが共有フォルダの同じファイルを開いている」ことが多く、これは動作が遅くなるだけでなく、ファイル破損の主要な原因になります。

5. リンクテーブルの接続先を確認する

リンクテーブルがある場合、その接続先を必ず記録してください。 Access の「外部データ」タブから「リンクテーブル マネージャー」を開くと、接続先のフルパスが一覧で表示されます。

ここに書かれているのが次のような形式なら、注意が必要です。

6. どのパソコンに何があるかを一覧にする

Access の引き継ぎで最も見落とされるのがこれです。 ファイルだけ引き継いでも動きません。次を紙に書き出してください。

確認する項目なぜ必要か
使っているパソコンの台数と設置場所 入れ替え時に漏れると、その部署だけ業務が止まります
各パソコンの Access のバージョン バージョンが混在していると、片方でだけ不具合が出ます
32bit 版か 64bit 版か 古い Access の資産は 32bit 前提のものが多く、64bit で動かなくなります
ネットワークドライブの割り当て Z ドライブが人によって違う場所を指していることがあります
ODBC データソースの設定 パソコン側の設定なので、新しいパソコンには引き継がれません

第3段階: 人に聞く

ファイルを見ても絶対に分からないことがあります。前任者がいなくても、使っている人は残っています。次を聞いてください。

最後の項目は特に重要です。「月末処理の前にこのボタンを押してはいけない」といった暗黙の運用ルールが、どこにも書かれずに口伝で残っていることがよくあります。

やってはいけないこと

最新の Access で開いて「変換しますか」に「はい」と答える

古い形式(.mdb)のファイルを新しい Access で開くと、形式の変換を促されることがあります。ここで変換すると、 古い Access からは開けなくなります。 他のパソコンがまだ古いバージョンだった場合、その全員が使えなくなります。

必ず保全用のコピーを取ってから、かつ全パソコンのバージョンを確認してから判断してください。

「最適化」を安易に実行する

Access には「最適化/修復」という機能があり、ファイルサイズを小さくできます。有用な機能ですが、実行前には必ずバックアップを取ってください。 すでに軽微な破損があるファイルに実行すると、破損が確定することがあります。

とりあえずデータを消して軽くする

「古いデータは要らないだろう」と過去分を削除するのは、引き継ぎ直後にやることではありません。帳票や集計が過去データを参照している可能性があり、削除の影響は数か月後の集計で発覚します。

ここまでで見えてくること

第2段階まで進めば、「作り直しが必要かどうか」の判断材料はおおむね揃います。多くの場合、必要なのは全面的な作り直しではなく、 特定のパソコンへの依存を外すことバックアップ体制を整えることの2つです。これだけで、当面の不安はかなり解消します。

なお、Access のフォームやレポートに書かれた処理(VBA)は、ファイルの中身を機械的に調べるだけでは取り出せません。実際に画面を開いて確認する必要があるため、そこは実機を見ながらの作業になります。

調査からお引き受けします

ファイルをお預かりして、テーブル構成、保存されているクエリ、接続先のパス、危険な箇所を報告書にまとめます。引き継ぎのために社内で確認すべき事項も、質問の形で一覧にしてお渡しします。初回調査 5万円(税別)、ご発注時は改修費から全額差し引きます。

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